日本の文化にも大きな影響を与えている梅
日本の文化にも大きな影響を与えている梅
梅は日本の文化に大きな影響を与えています。梅は、天平の時代から和歌に詠まれ文学や詩歌に頻繁に使用されています。梅の花や木は、春を待つ心を表現したり美しい季節感を表したりします。梅は俳句では春の季語ですが、「探梅」は冬の季語になり日本人の心に梅の高貴な凛とした花が根付いていたことが伺えます。菅原道真は梅をこよなく愛したことで有名で、「令和」の元号が制定された時も、梅の花のエピソードが多く語られたことは記憶に新しいことです。また、梅は、多くの画家が屏風にダイナミックに描いたり掛け軸に表現したりしてきました。茶室や古寺などに飾られた梅の絵を見ると、心が和むものです。さらに、「桜伐る馬鹿梅伐らぬ馬鹿」「塩梅」など、ことわざや熟語にも多く使用され、私たちの言語文化に息づいています。日本の各地に梅の名所があり、希少な美しい梅の品種を大切にした庭園もたくさんあります。梅干し、梅酒などの食文化にも大きな影響を与えています。
梅は和歌にもよく使われる季語のひとつである
梅はほころぶ、と表現されます。梅の花は春の始まりを感じさせる愛らしい花ですが、色々な和歌でも使われています。たとえば、古今和歌集には恋と絡めた美しく梅の香りを表すものがたくさんあるそうです。ひとつ調べてみると、「折りつれば袖こそにほへ梅の花有りやここにうぐいすのなく」というものがあります。これは、梅の花を折り取ったので袖がこんなに香っている、梅の花が咲いていると思ってここにうぐいすが鳴いている」という現代語訳をすることが出来ます。 この当時は香りを纏う文化が盛んだったので、梅の芳香を袖の移り香に見立てた和歌です。そのため、うぐいすが人を梅の木と勘違いしていることを楽しく伝えているのが特徴です。このように、梅を季語として使ってちょっとお茶目な感じで歌を作ることが出来るというのは素晴らしいといえます。梅だけではなく、和歌には季節の木々がたくさん使われています。季節を感じさせるものは、和歌にするにはとても良いアイテムなのでしょう。